トレッキングガイド
奥森吉(小又峡縦走コース
神秘の渓谷と尾根筋の共生林を行く

尾根筋のキタゴヨウマツの巨根(7月)
小 又 峡 Photo Gallery

コースタイム(8km 6時間30分:遊覧船移動含む)
標高差:320m
小又峡桟橋(小又峡散策)化ノ沢(縦走路)扇ノ沢沼ノ沢森吉林道出会い
親滝ノロ川橋(ノロ川園地)野生鳥獣センター(駐車場)

逆コースは30分短縮。いずれもタクシー、または車の回送が必要。

阿仁前田駅


22km30

森吉山荘


8km20

グリーンハウス
(食堂、売店)


0.4km10

東北自動車道
花輪IC


15km20

大葛


20km30

太平湖桟橋


遊覧30

小又峡桟橋


2km45

化ノ沢


0.2km5

三階滝

化ノ沢まで戻る
0.2km5

化ノ沢


0.5km45

六階滝展望台


1.3km45

扇ノ沢


1.5km90

沼ノ沢


0.2km20

森吉林道出会


0.5km15

親滝展望所


0.5km20

見晴


1km25

ノロ川橋
(ノロ川園地)

野生鳥獣
センター


小又峡のコース概要
●小又峡は奥森吉地域(森吉山東麓)を形成する赤水渓谷や桃洞渓谷、立川や黒石川の
 源流域を集水域とするノロ川が、火砕流大地を
200万年かけて浸食した
 全長約
8キロの渓谷である。(秋田県の名称及び天然記念物に指定)
●小又峡の散策は太平湖を遊覧船で渡り、小又峡桟橋から三階滝までは
 片道
2q(60分)の往復が一般的な散策コースである。
●縦走コースは三階滝手前の化ノ滝から尾根筋に上がり、ネズコ、キタゴヨウ、ブナ、
 天然秋田杉の巨木群を巡り、小又峡最上流部のノロ川橋(ノロ川園地)まで
 約
8q(6時間30分)コースであるが、一般的な縦走は、太平湖の遊覧船始発が9時30分
 のため、上流部の野生鳥獣センターに移動し(車を置き)、三階滝まで降りてきます。
 太平湖を遊覧船で渡り、タクシー等で野生鳥獣センターまで車を取りに向かいます。

 小又峡散策の留意事項

小又峡の沢登りについて
<必読事項>
●三階滝から上流部最後の親滝までの沢登りは困難を極めます。
 落差15m前後の滝と甌穴が連続し延長20〜100mの深渕でつながっています。
●渓床は歩行が困難かつ岩盤には適所にクラック(割れ目・裂け目)がないため
 ハーケンやカムの使用は殆んど不可能です。
●したがって、連続する滝を登るには泳ぎに加え渓谷の両サイドの灌木帯の
 急斜面を高巻きしたり、比高100m前後の尾根筋や縦走路までを何度も迂回
 することを余儀なくされます。
●一番怖いのは渦が荒くれ、沸騰状態になっている滝つぼや甌穴に落ちると
 浮力を失い溺れることになります。(2015.8.16の遭難死亡事故はこの状態に近かった
 のではないかと推察されます)
●さらに、滝の頭部に隠れている甌穴に全水量が入り込んでいる個所、
 滝つぼや甌穴の底が抜けてトンネル状になっている個所が随所に存在する
 ことを肝に銘じてください。
●渓谷を踏破すならば、上流部から順番にビレイポイントを構築して降下する
 より方法はないと考えます。勿論、ライフジャケットの着用、相互の安全確保、
 高度な登攀遡行技術の練度が前提である。
●したがって、小又狭の沢登りは推奨できません。
 <一般的な沢遊びや遡行は、桃同・赤水渓谷とその周回ルートを推奨します>


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 太平湖〜小又峡〜クマゲラの森〜桃洞・赤水渓谷(1/50000)

 


小又峡縦走路の概要

 太平湖遊覧の後、遊覧船は小又峡へと進む。桟橋に近づくと湖畔の景観は一変する。そそり立つ一枚岩盤の急峻な尾根筋はキタゴヨウとネズコが占有し、ブナやカエデ類の潅木林の広葉樹が混交林を形成し渓谷美を誇っている。神秘の小又峡がここから始まる。
 浮き桟橋でトイレを済ませ、渓谷の河畔散策路を400m進むと千畳敷という広い河床とその縁を落ちる曲滝が水しぶきを上げて迎えてくれる。滝壺はおう穴が連続し深渕には尺岩魚が浮遊する。

千畳敷と曲滝
 飛石歩道を渡った先は、深渕とおう穴がテーブル状に連続するガマ渕である。三角滝はカーテン状の落込みを見せる清楚な渕だ。橋を渡った対岸の静かなトロ場は、上流から曼荼羅模様の流紋を運び何時まで眺めても飽きることはない。

三角滝
 このトロ場の頭が流紋を作り出している穴滝である、渇水期には口幅1mを超える三個のおう穴にすべての流れが落込む様は水神のごとくである。穴滝上部は林縁が迫出した平坦地(幅80×長さ250)を形成し渕と流れが幾重にも分散する景観が見事である。

化ノ滝

 やがて河床は急に狭くなり化ノ沢分岐には横一条の化ノ滝が構えている。この頭部から流れは右に90度曲がり化ノ堰(横幅2m、高さ5m、長さ150m)を形成する。上流の化ノ穴滝を眺め歩道の階段を駆け上がると小又峡のシンボル三階滝が待っている。さらに滝つぼに下りるとその豪快さと神秘さが更に実感できる。

化ノ穴滝
 この先の縦走路は化ノ沢分岐まで戻り尾根筋に向かう。沢の岩盤に設置したU字金具を伝い鉄製の階段を三箇所上り詰めると足元直下に化ノ滝が見えてくる。100m先を縦走路から右に少し入り込むと三階滝の上流部を眺めることができる。(くれぐれも足元に注意)

化ノ沢から尾根筋に登る
 ネズコの巨木の尾根をさらに300m進んだ開けた場所が六階滝の展望所(標柱)である。上部三段は尾根の裏で見えないが、右手下方におう穴を従えた下部3段のバランスのとれた滝は、三階滝に決して見劣りしない。ここは小又峡や化ノ沢の渓谷美と混交林の眺望がすばらしいところだ。

六階滝を望む
 さらに六階滝を足元直下に見下ろす歩道を進み尾根筋の小沢を2箇所トラバースしてから下ったところが扇ノ沢である。沢を横断し対岸の尾根に上がると足元直下50m下には佳滝(ヨシタキ:20m)の轟音が滝つぼに響き渡っている。(縦走路からは滝の頭部と滝つぼより見えないため、渓谷に下りなければ全容は見えないが、帰りが大変なのでお奨めではない)。 やせ尾根を200m登った先からは、尾根筋の狭い空間にネズコとキタゴヨウが絡み合い共生する巨木の群生地が1.5q続き歓声の連続となる。

尾根筋はネズコの巨木が群立する
 やがて歩道は下りにさしかかり、降りきったところが小又峡と沼ノ沢の合流点である。ここから上流の渓装は一変し、河床は森吉山の噴出物である小山のような巨岩が一枚岩盤の上に積み重なっている。

小又峡の支流沼ノ沢を渡る

沼ノ沢から林道出会いまでの急登
 一息入れたあと比高100mの急登を登り切ると縦走路は森吉林道に出る。林道を約300m進んだ標柱からまた縦走路に入ると森はブナ林に変わる。渓谷縁に降りたところが親滝の展望地だ。落差10m弱の滑滝であるが小又峡上流部の最初の滝にあやかり親滝と呼んでいる。

親滝全容
 親滝展望台の淵を回り、ネズコやキタゴヨ、天然杉の混交林の歩道を500m程進むと奥小又峡の清楚な流れが展望できる見晴に着く。高台でスナップを楽しみ緩やかな河畔の歩道に沿って1qの森林浴を満喫したころで小又峡の終点ノロ川橋(ノロ川園地)に到着する。

従走路の上流域は約2キロの穏やかなせせらぎが迎えてくれる。

ノロ川橋からの眺め
 ノロ川橋を渡るとノロ川園地に到着。ここは、クマゲラの森の散策や桃洞渓谷、赤水渓谷散策の玄関口です。環境省の野性鳥獣センターは、この先700mのところにあります。帰りは野生鳥獣センターからタクシー等で移動されたい。

ノロ川園地

小又峡桟橋にて

ガマ渕


穴滝

穴滝の上流部(針葉樹のコントラストが美しい)


化ノ堰

小又峡のシンボル三階滝

鉄はしごを登る

3階滝頭部(尾根縦走路より)

六階滝展望台から望む渓谷の容姿

縦走路の尾根筋はネズコやキタゴヨウの
巨木が連続する。

倒木更新したキタゴヨウの巨木

沼ノ沢合流地点の巨岩群

森吉林道出会い

見晴し(奥小又峡の清楚な流れ)

春紅葉の頃はエゾハルゼミの季節でもある

明方の冷気が彩りを深める

小又峡上流部起点のノロ川橋です。

野生鳥獣センター(レクチャー広場)
奥森吉散策の行動拠点です。

太平湖と遊覧船
 太平湖は周囲20qの多目的ダムで遊覧船が6月〜10月末まで運航。Gハウスで乗船券(大人1,100円)を求め桟橋まで急な歩道を400m下る。森吉丸(105人乗)は9時30分始発で1時間毎に太平湖桟橋と小又峡桟橋を往復している展望デッキ付の遊覧船で、行きは45分(太平湖一周遊覧後、小又峡へ)、帰りは15分の行程で運航している。

渓谷の花

春の渓谷はイワウチワ、チゴユリ、ノギラン、イワカガミ。夏はタニウツギ、トリアシショウマ、オニシモツケ、タヌキラン、モウセンゴケ、ギボウシ類。秋にかけての渓谷の岩盤一面に群生するダイモンジソウは圧巻である。早咲きのリンドウが咲きだすと錦の衣着飾る渓谷の秋は間近である。


最寄の宿
<森吉山荘>
 奥森吉の玄関口の湯ノ岱に立地するプチホテル風の国民宿舎です。
<杣温泉旅館>
 300年以上の歴史のある風流な温泉宿。森吉山荘の元湯で源泉掛け流しの露天風呂が人気です。

トレッキングガイドとマップ ネイチャーガイドの申込み
ぐるっと森吉山トレッキングプラン

トレッキングガイドのメニュー
太平湖〜小又峡 小又峡縦走コース クマゲラの森 桃洞渓谷コース
赤水渓谷コース 黒石川コース 桃洞杉観察コース ヒバクラ岳コース
コメツガコース 阿仁ブナ帯コース 中ノ又渓谷コース(安滝) 立又渓谷コース

Googleマップ 気象庁

NPO森吉山ネイチャー協会
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