アユ稚魚はどこで越冬するのか
― 能代港における環境DNA分析と実物確認

2026年3月3日 採水分析 / 2026年3月23日 現地確認 阿仁川漁業協同組合

阿仁川漁業協同組合では、能代港におけるアユ稚魚の越冬場所の解明を目的として、環境DNA調査を実施しました。今回の分析では、 地点2でアユ環境DNAが突出して検出されました。さらに後日の現地調査では、 その周辺でアユ稚魚と思われる群れの水中確認ができ、データと現場の印象が結びつく、たいへん興味深い結果となりました。この調査は今季の天然遡上観察につながります。
※環境DNA(edna)とは:「水の中に残された魚の『足跡(DNA)』を調べる最新技術です。目に見えない稚魚の動きもこれで分かります!

採水地点

採水地点の位置関係と、のちに稚魚群が確認された周辺位置です。

能代港 採水地点
採水地点①②③4.5万トン岸壁付近。3月23日、海中でアユとみられる群れが確認された場所です。
地点2は明瞭な強検出地点です。今回の3地点比較の中では、アユ由来DNAの存在感が最もはっきり現れた地点でした。

アユ検出数の比較

read数による比較です。尾数そのものではありませんが、同一解析内での相対比較には十分参考になります。

地点1 0
地点2 0
最強検出
地点3 0
  • 地点2は地点3の約252倍の検出数
  • 地点1では今回の条件ではアユ未検出
  • 港内のどこでも同じではなく、分布に大きな偏りがある

能代港 採水ポイント周辺

タグボート周辺。今回、アユ環境DNAが最も強く検出された地点です。

能代港 採水ポイント
タグボート係留地点
能代港 魚探反応
タグボート係留地点付近の魚探反応

この結果から読み取れること

地点1:未検出 地点2:強検出 地点3:痕跡レベル
  • 地点2ではアユ由来DNAが明瞭に集中している
  • 地点3でもわずかに検出されるが、存在感は小さい
  • 地点1では今回の条件では確認できなかった
  • 能代港内でアユDNAの偏りがかなり大きいことを示している
まとめ
能代港3地点の比較では、アユ環境DNAは地点2で突出して強く検出されました。地点3は微弱、地点1は未検出であり、 港内におけるアユ由来DNAの分布には明瞭な偏りが認められます。

分析結果からの私見

能代港は広く防波堤に囲まれており、外海の波浪の影響を受けにくい構造となっています。その中でも地点2のエリア周辺は、 港内にありながら適度な水深があり、冬季においても水温や水塊の変動が比較的小さい場所である可能性があります。

さらに、鮎稚魚と見られる大群が目撃された岸壁部は大型のコンクリート構造物が連続し、奥行きも深く、波当たりの弱い環境が形成されています。 現地で水中を観察すると、マリンスノーのような細かな浮遊物が常に漂っており、微細な有機物や餌生物が比較的滞留しやすい場であることがうかがわれます。

今回の環境DNA分析では、アユは地点1で未検出、地点3で微弱検出であったのに対し、地点2で突出して強く検出されており、 この場所周辺が港内の中でもアユ稚魚にとって利用価値の高い環境である可能性が示唆されました。以上のことから、地点2周辺は、 アユ稚魚の越冬あるいは初期成育を支える重要な場、いわば「越冬・生育のゆりかご」的なエリアとなっている可能性があると考えられます。

現地確認 2026年3月23日

環境DNA調査と並行して、現地で実際に稚魚群と思われる姿を確認した日の記録です。

能代港での稚魚探索調査
アチコチ探しました!!

本日は能代港でのアユ稚魚探索調査です。今までアユの稚魚の越冬場所は謎でした。港内アチコチ実際の水中の様子を追っていきました。

アユ稚魚群を確認した場所
最後に狙いを付けたのがここです、、ここにおりました!!
見つけました!! ここにおったんかい!!
数値で見えていた「偏り」が、現地確認で実際の魚影として結びついた瞬間でした。

能代港のアユ稚魚と思われる群れの水中動画

能代港でのアユと思われる稚魚の群れの水中動画です。
eDNA分析結果と現地確認は、かなりよく符合しているように見えます。 今回の結果は、能代港内におけるアユ稚魚の越冬・初期成育の実態を考えるうえで、非常に興味深い材料になりました。

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