| 地下足袋山中考 ぐるっと森吉山の変遷と観光振興をテーマにしたエッセイ集です |
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| 地下足袋(じかたび)という言葉自体死語に近くなったが、まだまだ、繊細な職人仕事には欠かせない存在だ。私が物心ついた時は農作業に山仕事、山菜とりに至るまで身近な履物として傍にあった。長年、営林署の貯木場務めだった亡き父の定番の履物はスパイク付の地下足袋だった。足袋型のゴム底に厚手の布仕立て。決して見栄えのしない地下足袋も足首の爪を絞め上げると足下の軽やかさは一変した。スパイク付の物は沢歩きや急登のゼンマイ採りに抜群の威力を発揮したものだ。最近の山歩きは、機能満点のトレッキングシューズ全盛時代だが、その分、地べたの感触は失われた。その履き心地をまだ足下に残している者としては、愛着よりも懐かしさに潤むものがある。 久々に地下足袋を履いてみた。山中を巡る足下から脳裏に伝わる振動は、雑感を呼び起こし実に心地がいい。山中で浮かんだおっさんのボヤキを書き留めてみた。読笑くださればありがたい。(巻頭文より) |