<北東北の名山>
   鳥海山
Mt.Thokai

 鳥海山(2,236m)
 鳥海国定公園に属す鳥海山は、山形県と秋田県の県境に位置し、標高2,236m(新山)の活火山である。別名「出羽富士」、秋田県では「秋田富士」、山形県では「山形富士」とも呼ばれ、日本海に裾野を浸した秀麗無比なる山容を誇っている。
 山頂からは北方に白神山地や岩手山、東方には栗駒山や焼石岳、庄内平野を挟んで月山が鎮座する。そして日本海は早朝の影鳥海を投影し、潮の照返しと残照、夕映えと星空を二分する絶景をみせる。
 鳥海山は独立峰の端麗な姿と火山地形が織りなす渓谷や名瀑群に加え、高山帯の植物群落においても、100名山屈指の名峰であろう。初夏から盛夏にかけて、広大な溶岩地形の雪田草原に咲誇る百花繚乱の山容の一端を紹介したい。※日本百名山、花の百名山、日本百景、日本の地質百選(2007年)、国史跡(2009年)。
 <気象庁HPの鳥海山の概要の一部を下に掲載>
「玄武岩や安山岩の成層火山。基底の直径は、東西26q、南北14q。地形的にはなだらかで浸食が進んだ西鳥海山とやや急峻で新しい溶岩地形をもつ東鳥海山に二分され、それぞれの山頂部に山体崩壊によって生じた馬蹄形カルデラがある。」


トレッキング
ガイド
 @鳥海ブルーラインの最高所、鉾立を起点終点に奈曽渓谷を俯瞰し、眼下の日本海を背に新山と対峙しながら快適な石畳の山道を往く。賽ノ河原で冷水を補給。鳥海湖(鳥ノ海)を展望する御浜小屋から扇子森〜御田ヶ原を経由し、向う外輪コースは初夏から初秋にかけて花々が乱舞する。天空漫歩の行者岳ピークを踏むと外輪最高峰の七高山が待っている。
 七高山を折り返し、千蛇谷のガレ場を下り最高峰の新山溶岩ドームを踏み大物忌神社に参拝。盛夏の千蛇谷大雪渓を下りを七五三掛分岐を乗越す頃には、西日が日本海の潮目をあぶり出してくる。
 登りは快適だったはずの石畳の感触が疲労した足腰の痛みに変わる。西日の温もりに癒されながら鉾立に戻る。
 A鳥海山の雄姿に日本海と米どころの庄内平野の展望地と言えば姜ヶ岳に続く長坂道尾根である。新山山頂を踏まずとも、賽ノ河原から姜ヶ岳を往復する雪渓とロックガーデン、草原を飾る花ロードは、鳥海山随一の展望ビューポイントだ。

@ 初夏〜盛夏の象潟口コース
往復:15キロ 9〜11時間(登り6時間 下り5時間)休憩含む
標高差:1,076m

鉾立(1160m)→1時間20分→賽の河原(1550m)→40分→御浜小屋(1700m)→30分→扇子森→
30分→御田ヶ原分岐→30分→七五三掛→1時間→伏拝岳(2130m)→20分→行者岳
(2159m)→
20分→七高山(2229.2m)→20分→新山(2236m)→20分→大物忌神社→1時間10分→
七五三掛→50分→御浜小屋(1700m)→30分→賽の河原(1550m)→1時間→鉾立(1160m)

<クリックで拡大>
 本庄市付近:国道7号線 7月中旬
奈曽渓谷(深さ約300m、数万年に及ぶ浸食の造形美) 7月18日 
鳥海湖(鳥ノ海)は直径200m。約5000年前の噴火でできた西鳥海火山帯の山上湖です 6/26 
御浜小屋から伸びる首長竜の様な雪渓の先端にドラゴンアイが出現 6/26 
ドラゴンが居た夏(御浜小屋にて) 7/8 
ドラゴンが去った鳥海湖は天空の花園に変身! 7/20 
 ハクサンイチゲの乱舞 ホソバイワベンケイ  ミネウスユキソウ
ミヤマキンポウゲ  イワウメ  チョウカイフスマ(鳥海山固有種)
扇子森はハクサンイチゲの群落地 
東鳥海火山帯の主峰新山を望む(ニッコウキスゲが巡礼路をエスコート  扇子森→御室へ)
御田ヶ原はニッコウキスゲの舞踏会場だ 7/20
御田ヶ原〜七五三掛までは盛夏の舞踏会場だ! 
路傍の妖精:ヨツバシオガマ   トウゲブキ ハクサンフウロ 
西鳥海火山帯の残雪模様 6/26 
七五三掛(シメカケ)  7/20
鳥海湖を中心とする西鳥海火山帯の全容 ( 文殊岳直下にて) 7/20
7月上旬は神社直下から雪渓が連続する(文殊岳より新山を拝す) 7/8 
鳥海火山帯の主峰新山を拝す(文殊岳にて) 7/20 
 アオノツガザクラ ハハコグサ  ミヤマリンドウ 
伏拝岳より神社〜山頂群一望
ミヤマキンバイ  ツガザクラ  イワブクロ 
行者岳から新山〜七高山を拝する 
 イワギキョウ  チョウカイアザミ(鳥海山固有種) タカネツリガネニンジン 
 七高山 7/20
千蛇谷を下りる 7/20 
カラマツソウ  ミヤマトウキ(セリ科)  ミヤマバイケイソウ(ユリ科) 
千蛇谷を下りる  7/20
千蛇谷雪渓を下りる 7/20  
千蛇谷大雪渓は、例年7月下旬まで大物忌神社から七五三掛分岐まで1.5qの雪渓歩きが楽しめます。 7/8
千蛇谷の大雪渓(七五三掛分岐へ登り返し) 7/20 
★千蛇谷は約2500年前に山頂部が山体崩壊して出来た地形です。
★山体崩壊による土砂は、20q先の日本海に到達し沿岸に九十九島の絶景を造りました。
★俳聖・松尾芭蕉が訪れてから115年後の江戸時代後期(1804年)の大地震で土地が隆起。
海水が引いて九十九島一帯は陸地になりました。
★今も、田んぼに水が張られる5月には、芭蕉の時代を彷彿とさせる風景が広がります。
★現在の象潟周辺は、田んぼの緑の海に昔の小島が浮かぶ田園風景になりました。
日本海の西日を抱く
 残香潮目

A 賽の河原〜三峰〜二峰〜笙ヶ岳を巡る
往復:8キロ 5時間(登り3時間30分 下り2時間30分)休憩含む
標高差:475m

象潟口鉾立(1160m)→1時間20分→賽の河原(1550m)→40分→長坂道合流点(1590m)→
20分→三峰→10分→二峰→20分→笙ヶ岳(1635m)往復

賽ノ河原へと注ぐ雪解けの清水(三峰へ向う) 7月18日
雪渓渕の青空スポット   雪渓周辺は溶岩のロックガーデン ロックガーデンに点在する池塘群 
 長坂道に連なる草原と池塘群は天空のオアシスだ
 池塘の渕はモウセンゴケのコロニーだ ハクサンボウフウ は草原のカスミソウ  涼風が走る小路
 長坂道合流点はニッコウキスゲの群落 7月中旬〜下旬
チングルマ   ハクサンイチゲ アオノツガザクラ 
ハクサンイチゲ(三峰の登路にて) 
三峰への登路(三峰〜二峰〜笙ヶ岳までは雲上の花路だ) 
笙ヶ岳(1635.3)は鳥海山〜庄内平野〜日本海の展望地 

北東北の名山位置図

北東北の100名山・200名山
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