日時 平成23年3月17日(木) 午前9時40分
                 場所 上小阿仁小・中学校 体育館

 白かった姫ヶ岳が衣替えをし、校門横の池の鯉や小鮒が動き始め、春の訪れを感じる季節となりました。今日の佳き日、卒業証書を手にした19名の卒業生の皆さん、本校第4期生としての卒業おめでとうございます。 本日は、本校の卒業式に、皆さんの卒業を祝い、村長をはじめ、多数の御来賓の方々の御臨席を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。 保護者の皆様、御家族の皆様、お子様の御卒業を心よりお祝い申し上げます。卒業生が誕生した平成
10年度は、大館能代空港の開港や約27,000人が参加し森吉山で行われた第12回日本ジャンボリーの開催など、県内には活気がみなぎり、サッカーの日本チームがワールドカップに初めて出場し予選突破を果たすなど、日本中が沸き立った年でもありました。そのような状況の中で、お子様の誕生は、大きな喜びに包まれていたのではないかと思われます。ハイハイをしたり、立ち上がってよちよち歩き始めたりと、成長する我が子の様子は、御家族皆様の喜びではなかったでしょうか。あれから12年が経ち、たくましく成長した姿に、御両親をはじめ御家族の皆様の感慨もひとしおでないかと思われます。改めて、お子様の卒業をお祝いするとともに、これまで本校の教育活動に御理解、御協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。 さて、6年前を思い起こしてみますと、卒業生の皆さんは、小沢田小学校と沖田面小学校に入学しました。集団での遊びが活発となり始める、3年生に進級する時に、統合した本校に入り、小沢田小10名、沖田面小8名だった同級生が、一気に18名に膨らみました。最初はなかなか、みんなで遊べなかったのではないかと思いますが、すぐに慣れて仲良く遊べるようになったと聞いております。昨年度、三浦康太君を迎え、今の19名となりました。 平成
22年4月。「夢にみちた 未来に向かって走り出せ 日本一の上小っ子」という児童会テーマを掲げ、最上級生としての6年生がスタートしました。登校班や掃除の縦割り班では、11名の1年生を迎え、リーダーとしての動きが求められました。特に集団登校では、歩くのが遅れる1年生をじっと待ちながら、歩くのが速くなり列からはみ出す児童を指導し、1列に並ばせて登校するのは大変だったと思います。それでも、先頭を歩く班長さんは、登り終えた校門前の私に、大きな声で朝の挨拶をしてくれました。5月の体育祭では、中学生の応援合戦のような演技をしようと工夫を凝らし、中学生に引けを取らない応援合戦を演ずることができました。学校祭では、創作劇「ありそうでありえない6年生の1日」を楽しく演じ、中学生と一緒に郷土芸能「小沢田の駒踊り」「大林の獅子踊り」にも新たに取り組みました。全校合唱では小学生のリーダーとしてしっかりと歌いきり、会場からたくさんの拍手をいただきました。 学習でも成果を上げました。作文・詩・習字・絵画等、様々なコンクールに挑戦し、これまで以上にたくさんの人が入賞しました。 そして部活動。1試合毎に技術が向上した野球部。ミニバスケットボール部は、あと一歩のところで全県大会出場を逃すという、見事な活躍ぶりでした。たくさんの地域の方々から、連日応援していただいたことを思い出します。相撲部と陸上部、スキー部は全県規模の大会に出場することができました。中でもスキーの各種大会で優勝した北嶋杏樹さんの活躍は見事であったと思います。 また皆さんは、今年度新たに、たくさんの体験学習に挑戦しました。本物体験として、中国人歌手ユウ燕さんの歌、山形交響楽団によるオーケストラの生演奏、わらび座の劇「カッパのパッカ」と「山神様のおくりもの」。中学生と一緒に、ニューソーラン節にも取り組みました。3年生と村の植樹祭に参加したり、全校をリードしてキノコの植菌作業も行いました。村の特産物の食用ホオズキを、野外センターの小林さんや大沢さんから指導を受け栽培し、秋田県種苗交換会学校農園部門に出品したら、特別賞を受賞することができました。郷土の先輩、矢口高雄先生が釣りキチ三平を描くところを間近に見て、子ども時代の話を聞きました。秋田ノーザンハピネッツの澤口選手からはスポーツに取り組む姿勢を学びました。熱気球に乗船して空から村を眺め、秋田県内初の仲間だけで作った熱気球の話も聞き、体育館で気球の中にも入ってみました。修学旅行の日程を増やし、木古内町でホタテ養殖などの漁業体験や函館朝市で各店舗に入っての販売も体験しました。漁船の先頭に乗船し波しぶきを浴びて喜ぶ姿や、恥ずかしがってお客さんに声をかけられなかった姿が思い出されます。これらの体験学習から学んだ事を、村子どもサミットで、1つ目「温かい人の心」、2つ目「上小阿仁の自然を生かす」、3つ目「上小阿仁の特産物・産業・人材を生かす」と3点にまとめた発表を見て、よく学んでくれたと、嬉しく思いました。 さて、先日の東北関東大震災では、自然エネルギーの大きさに我々人間はなすすべもなく、多くの方々が被災されました。皆さんも、校舎が揺れて机の下に避難したり、余震や停電により寒い夜を過ごしたりと、とても怖い体験をしたと思います。亡くなられたたくさんの方々の御冥福をお祈りすると共に、私たち日本国民が皆で助け合うことで、被災された地域が1日でも早く元に戻ると信じております。6年生の教室の正面に、「一人はみんなのために みんなは一人のために」という学級目標が1年間掲示されていました。皆さんは、この目標を達成できたでしょうか。実は人のために何かをするということは、簡単にはできないことだと思います。なぜなら、災害の後に人を助けたり、学級の中でみんなのために尽くしたりするためには、正しい判断ができるたくさんの「知識」、困難を克服するしっかりした「体力」、自分のことだけではなく、周囲のことを考えてやることができる深い「思いやりの心」が、一人一人に備わっていなければならないと思うからです。皆さんが小学校を卒業するに当たり、1つだけお願いがあります。それは、自分自身を鍛えようとする心を持った中学生になってほしいということです。私たちは、どちらかというと、自分の弱い心・楽をしたい心に、負けてしまうことが多くあります。しかしそれでは、たくさんの「知識」を得ることも、しっかりとした「体力」をつけることも、深い「思いやりの心」を育てることもできません。中学生の時期は、かなり困難なことでも友達と一緒に挑戦し、皆で高め合うことができます。いや人生の中で、この時期しかそのようなチャンスはないかもしれません。勉強でも、部活動でも楽な道を選ぶのではなく、常に難しいことにチャレンジし、そしてそれを乗り越える、すなわち自分自身を鍛えようとする心を持った中学生になってほしいと願っています。皆さんの卒業証書の一文字一文字に、私のその気持ちを込めたつもりです。 最後に、保護者の皆様、6年間お預かりした子どもたちを一旦お返しします。私ども教職員は、精一杯の努力をしたつもりですが、至らぬ点も多々あったのではないかと思います。今後は、中学校での活躍を期待し、本校職員が更に努力することをお約束し、式辞といたします。
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